脱自堕落

令和5年10月23日 晴れ

 

 JR東海から郵便物が届いていると、不在票が入っていたので取りに行った。身に覚えがないが、もしかしたら何か懸賞に応募して当選したのかもしれないと思い、意気揚々と出かけたが、何のことはない、EX予約のカードが届いてただけだ。

 先日、便利になると言う広告に釣られて申し込もうとしたが、途中で金がかかると知って申し込みを中断したものだ。ほぼワンクリックでカードが届くところまで行ってしまったので、届いたようだ。「ご利用には登録が必要です」と書いてあるので、登録しなければ金はかからんだろう。ほぼ全自動で届くのだろうが、要らん手間をかけさせてしまった。私も要らん手間を取った。

 

 

 

 一昨日、妻とジムに行った帰りに「何か資格を取れば良いのに…」と言われていた。

 私は、常日頃から自分の頭が良いと豪語している。もちろん上には上がいることは百も承知だ。これは、一種の自己暗示と自己肯定感を高めるための所作であり、傲慢さや驕りに起因するものではない。ただしかし、少し行き過ぎる場合がある。

 

 学生時代の成績はそこそこだった。神童と呼ばれたことはないが、地元の進学校で常に上位にいたことは間違いない。数学は常に1位だし、それに付随して理科系科目の調子は良かった。文系科目もそこそこで、私立に逃げる必要はないと思っていた。それだけといえばそれだけだが、結構自信はあった。

 それだけ自信があったものの、大学受験は上手くいかなかった。当時の志望は医学部医学科。地元国立大学でも模試の判定は悪くはなかったし、行けると思っていたら落ちた。父にお願いして一浪させてもらった。毎日頑張ったがそれでもまた落ちた。

 その時まで医者になること以外を考えていなかった私はマヌケだったかもしれないが、目標が掴みきれずやりたいこともなかったので途方に暮れたが、地元の国立大学の他学部であれば金を出してやるから進学しろと言ってくれたのでありがたく進学した。尤もそこで就職を選ぶほどの甲斐性はなかったし、学歴社会では進学した方が就職しやすいとも思っていたが。

 進学したのは理学部数学科だ。どこに行っても大差ないと思っていた。強いて言えば数学が好きだったのと、医学部を除く理科医学部の中で一番偏差値が高かったことがそれを選んだ理由だった。

 工学部の建築学科を出れば、建築士の受験資格が得られるし、文転して法学部に進めば、法科大学院に進んでも2年で済むが、数学科を出ても何も残らない。しかし、その時は自分で描いていた将来が消えてしまった絶望感でそんなことも考えられなかった。一つの絵しか描いていなかったのはマヌケだったと後悔している。

 

 高校を卒業して10年以上経ったているが、未だな過去の貯金(高校生までの勉強的優位感)を切り崩しながら生きている。あまり情けないことを書きたくないが、あまりにも自信を持てるものが残っていない。

 

 のんべんだらりと、何となく楽しみながら大学4年間を終えた。そこそこ勉強にも力を入れていたので成績は悪くはなかったが、大学数学が、高校までの数学と違っていて、あまり楽しくなかった。それで、大学院に進学するほどのモチベーションもなく、さっさと就職してしまおうと考えた(書きながら何だか父に申し訳なくなってきた)。

 長男だから地元に残らないといけないと言う思いと、地元にいる友達が好きと言う思いから、就職は地元でしようと、地元の企業ばかり受けた。

 自動車が好きで、たまたま地元に自動車メーカーがあったので受けたのと、なんとなく良さそうだと思った第一地銀を受けた。自動車メーカーには落とされたが、銀行は拾ってくれた。ありがたい。

 就職するまで(というか、就職してしばらくして他の同業の友人と給料を比べるまで)、高待遇だと気づかなかったが、県内有数の良い会社だったようだ。県内でもトップクラスの大企業に勤め、しかもそこでIT関係の仕事をさせてもらったので、この県の最先端を進んでいると思い、そこでまた少し自信を取り戻したのだ。その分きつかったが。

 

 以前書いたが、そんな企業を辞めて家業を継いだ。3年ほど経ったが、私の自信を唯一支えていた大企業勤めのステータスを失い、自分の脚で立つ不安があった。

 そんな不安を知ってか知らないでか、妻が資格を取れば良いのにと提案してくれたのだ。しかも、「どうせなら難しい資格を取れば良い」、「また自信を取り戻せる」などと言う。

 社会人で難しい資格を取るとなるとそれなりに家庭の時間を犠牲にする必要もあるし、負担をかけることもあると思う。しかも動機が緩い。本気なら当然背負うと言ってくれたのもありがたい。

 効率を重視するなら予備校に通う必要もあるし、そうなると金がかかる。仕事に支障をきたすと稼ぎも減るかもしれない。だからまずは金を貯めないといけないと言ってはぐらかした。

 

 はぐらかしたものの、やはり気になる。自分の今の生活をかえりみると、朝から夕方までは仕事をするが、毎晩酒を飲んで、酔って寝て、中卒のオッチャンと同じ生活である。そう思うと急に自堕落な自分が嫌になった。生活習慣を見直したい、頑張ってまた自信を取り戻したい。どこまで続くか分からないが、勉強してみようかと思う。

 そんなわけで今日は仕事終わりに入門書を買いに行った。どうしても資格を取らないと仕事がなくなるわけではないし、家業を継いだ以上そこを潰すわけにはいかないので、勉強だけするつもりはない。妻と遊びに行く時間も必須だ。

 少し早く起きるとか、夜酒を我慢して時間を確保するとか、自堕落な時間を充てるくらいのものだが、少しやってみようかなと思った。モチベーションが続く限り(三日坊主濃厚)。

 

 一昨日の妻の発言には、少々驚いたし、勇気づけられた。ありがたい。